キリスト教学校教師を目指す人たちのための教育プログラム --- ソーパー・プログラム

キリスト教学校とは

キリスト教学校採用FAQ

   公立学校と私立学校の教育の違いはなんですか。公立と私立とどちらがよいのでしょう。
   キリスト教学校での基本的な学習内容は公立学校と同じですか。特殊な何かが必要ですか。
   キリスト教信者でなければ就職できないのでしょうか。そのほうが望ましいのでしょうか。
   自分の母校や現在在学中の大学に併設されている中学・高校の教員になるにはどうしたらよいでしょうか。
   キリスト教学校の教員採用の方法がよくわかりません。また募集が少なく、志望していても教師になれるかどうか不安です。
   ほとんど公募されない教科があると聞きますが、何か対応策があれば教えてください。
   既卒者なのですが、新卒でない分、採用は厳しいでしょうか。
   私学適正検査について教えてください。教員採用試験とは異なるのでしょうか。
   キリスト教の授業があると聞きましたが、どうすればよいのか不安です。
   学校の中で宗派の違う先生方はいらっしゃるのでしょうか。その場合、何か気を付けるべきことはあるでしょうか。
   学校の先生方は、個々に学びを続けるほか、先生方同士で研究や勉強会をされていますか。また学校の枠を超えて、他校の先生方とも関わりを持つことはありますか。
   1~2年生のうちからできる具体的な準備としては、どのようなことがあげられるでしょうか。
   キリスト教学校教育同盟の後継者養成プログラムについて教えてください。
   キリスト教学校教育同盟の後継者養成プログラムに参加する場合、どのような手続きが必要でしょうか。
   事務職員の募集・採用がどのように行われるのか教えてください。
   キリスト教幼稚園の就職について教えてください。やはり教会に行くことが必要なのでしょうか。

   公立学校と私立学校の教育の違いはなんですか。公立と私立とどちらがよいのでしょう。
   どちらもそれぞれの特徴がありますから、一長一短に良し悪しを言うことはできません。公立学校は、その学校の特徴というよりも、地域ごとの微妙な特性が出てきます。教員には転勤がありますから、基本的には自治体内や都道府県内での移動が数年に一度あることになります。したがって公立学校は新陳代謝がよく、新しい風が入り込んでくることになります。しかしその反面、数年かけての教育プロジェクトを展開することには困難さがあります。途中で教員の移動があるかもしれないからです。現行法では教育委員会がそれを判断します。それに対し、私立学校では、長い先生は定年退職するまで勤めるケースがほとんどです。出入りが少ない点で新しい風が入りにくいとも言えますが、同じ学年チームで6年間生徒たちを見守っていくことや、数年単位での教育プロジェクトに協働して取り組むことができるなど、長期スパンで教育を考え実践していくことができます。卒業生が母校を頻繁に訪ねてくるのも、お世話になった先生方がいるからです。概して私学の卒業生は自分の母校に対して母校愛と誇りとを持っています。教師と生徒の関係が非常に親密で、一人ひとりの人格を重んじた教育を展開しています。
但し、少し奇異な表現に思えるかもしれませんが、公立学校の教師になるというのは公務員になることです。教育公務員特例法が適用されます。公務員は仕事がなくなる心配はありませんが日々マニュアルどおりに仕事をこなすことが求められます。国や自治体の方針が変われば、仕事内容もそれに合わせて変わります。自分のアイディアが職場全体を動かすことなどほとんど困難です。それに対して民間企業は、ともすると会社が倒産する心配はありますが、法に触れない限り、新しい事業を自由に展開し、どんどん財界をリードしていく可能性を秘めています。また中小企業も独自の目標を立てて、独自のやり方で、新しい時代や文化を作り出していくことができます。若手社員のアイディアが採用されたり、実力のある者は年齢を問わず多くの責任を任されたりします。公務員になろうとする人は公務員試験を受けるなど、公務員向けの準備をします。民間企業に勤める人は、技術や資格を身につけて公務員志望者とは異なる就活を展開することでしょう。公立学校と私立学校のどちらがよいとは言えません。あなた自身がどういう教育をしたいのか、なぜ教師になりたいのか、自分の賜物を用いる場はどちらなのかをよく考えて決めていくことになります。
近年は、教員採用試験以前にできるだけ早い時期に優れた教師を確保したいという私立学校が増えてきて、4月から翌年度の教員採用選考プロセスが進み始めます。私立学校希望者は早い時期からの準備と情報収集力が問われます。

   キリスト教学校での基本的な学習内容は公立学校と同じですか。特殊な何かが必要ですか。
   教科教育は公立学校と同じように行われますが、公立学校に比べて、授業展開の方法は、かなり教師や教科の自由裁量で行われる部分が大きくあります。そのクラスや学年にあった教材を工夫し、授業展開が行われます。進度も、学校によってはとてもゆっくりである場合、次の学年のものも先取りして進める場合など、いろいろです。決められた教育課程を網羅しては行きますが、教科カリキュラムも学校行事も毎日の授業も、教師の創意工夫と学校の教育方針に則って展開されていきます。比較的若い先生方でも、新しいアイディアを出していける雰囲気が私立学校にはあります。チーム力と創造力が大切です。

   キリスト教信者でなければ就職できないのでしょうか。そのほうが望ましいのでしょうか。
   キリスト教学校には、キリスト教信者(クリスチャン)ではない教職員も多数います。クリスチャンかどうかは資格ではありません。大事なのは、自分がどのような教育をしたいのか、どのような信念をもって学校教育に携わるのかということです。理想や信念をもたずに教育はできません。それは公立学校の教師も同じですが、私立学校の場合は、学校自体が明確な教育理念を掲げています。それを自分を共有できるのか、すなわちその学校の教育理念と、自分自身の教育理念や職業観が一致するかどうかが重要です。キリスト教学校においてクリスチャンであるというのは、すでにキリスト教学校の理念の部分を共有できていることを意味します。私立学校の教職員は、学校の教育方針への賛同や協力する思いがなければやっていけません。教職員として不適合というよりも、非協力的な態度は生徒や保護者に混乱を与えることになるからです。信者になるかどうかについては、だれもが一度は真剣に考えてみることをお薦めしますが、そこにすぐには至らないにせよ、キリスト教学校の教育の特徴は何なのか、自分はそれに賛同・協力することができるのかをよく学び、考え、見極めていく必要があります。キリスト教学校は、キリスト教信仰をその礎として据え、キリスト教教育こそが現代に必要な教育であるという自信を持っています。ソーパー・プログラムやキリスト教学校教育同盟の行っている後継者養成プログラムはそれに向けての準備プログラムとしてお考えください。

   自分の母校や現在在学中の大学に併設されている中学・高校の教員になるにはどうしたらよいでしょうか。
   公立であれ私立であれ、学校教員の採用は非常に狭き門です。タイミング良く、希望する年度に希望する教科の欠員が出るかどうかはわかりません。特定の学校の教員になりたくても、その学校での教員募集が出るまで待つことになりますし、募集が出たとしても多くの応募者の中から自分が採用されるかどうかは、それも分かりません。はっきり言ってしまうと、自分の希望する学校の教員になれる確率は、極めて低いと言わざるを得ません。卒業生であっても、この状況は殆ど変りません。しかも公募の比較的出にくい教科であれば、確立的にはもっと厳しくなります。母校への思いがあっても、最初からそれをかなえる必要はどこまであるでしょう。母校の教員になるメリットとデメリットがあるはずです。母校でしかできない教師ではなく、母校でも他校でも十分に通用する教師を目指してください。志望範囲を全国に拡げると、応募枠はその分、増えることになります。つまり、特定の学校や特定の地域に絞り込んだ就活はかなりリスクが大きいということは氏っておいてください。

   キリスト教学校の教員採用の方法がよくわかりません。また募集が少なく、志望していても教師になれるかどうか不安です。
   私立学校の採用は、非公式ですがおおよそ次のようなかたちがとられます。①公募、②指名、③推薦、④割愛などです。公募は、採用条件に合致する教員または教員予定者を広く募集するもので、多くの中から最も優れた人物を選考していきます。指名というのは、いわゆる一本釣りのことで、公募はせずに一人にターゲットを絞り、教師として迎えたい人物に学校側から直接アプローチして採用交渉を進める方法です。推薦というのは、信頼できる有識者に候補者を推薦してもらい、その中から適任者を絞り込んでいきます。縁故採用などもこれに含まれ、公募に比べると、個人的な背景も含めた審査となり、学校と推薦者との信頼関係の中で採用審査が行われていくことになります。割愛は、指名と似ていますが、すでにどこかで教師をしている人に対して行われるもので、簡単に言うと「引き抜き」ということです。学校によっては、①~④の組み合わせで教員採用が展開されることもあります。たとえば、有力候補者がすでにいるのだけれど、一応公募のかたちを取って、その候補者にも応募させるというような方法や、公募もするけれど一方で推薦もお願いするといった具合です。
私学の教員採用は、毎年コンスタントにあるわけではなく、基本的に欠員が生じなければ起こりません。去年は欠員が数名あったけれど、今年はゼロということも多くあります。学校側は優秀な教員を確実に採用したいと考えますから、欠員が生じること(現職教員の退職予定など)がはっきりすると、できるだけ早く後任の教師探しを始めようとします。
一つの波は、教員採用試験の前、すなわち春から夏休み前に発生します。そのあとは秋。そして12月から1月にかけて発生します。教員採用試験で公立に流れてしまう前に良い教師を確保したいというのが第一期です。近年、この第一期が早まりつつあり、4月に入るとすぐに公募を出す学校もあります。秋の第二期は、教員採用試験でたまたま上手くいかなかったけれど、人物としてはとても優秀で、実際には実力をしっかりと持った教師がいるわけで、それを探すのが第二期。多くの学校では、この時期までに次年度の学校運営体制の見通しをつけたいと考えます。第三期は緊急のことや出産・育児などの諸事情で退職したり休職したりする教員の欠員補充です。混乱が起こるので、前年の4月以前に公募が出ることはありません。
教員採用は、応募から採用の最終決定までに数か月から半年近く要することが普通です。もちろん緊急時などは即決することがありますが、通常は、書類審査、筆記試験(教科知識、小論文など)、数回の面接、模擬授業などがあり、教科会議、職員会議、常務会、法人理事会などの審査段階を経て採用が決まっていきます。
募集を出す時期は学校によって異なります。アンテナを張り巡らして募集情報を手に入れていかなければなりません。キリスト教学校に勤めたいという意志表明をいろいろな人たち(大学教員、母校の教員、教会牧師、友人など)にしておくのもよいでしょう。ひょんなところから情報が転がり込んでくるかもしれません。4年生になったら、キリスト教学校教育同盟の就職支援制度に登録しましょう(推薦状、登録料が必要)。キリスト教学校教育同盟の公募サイト(http://www.k-doumei.or.jp/)や機関紙「キリスト教学校教育」(毎月発行)にも、よく目を通しておきたいものです。全国のキリスト教学校の動向を把握しておくことは大事なことです。そのほか私学の教員採用を支援する民間機関もいくつかありますので、ネットから情報を集めてみましょう。
教師を志すのなら、まずはそれぞれの教科(免許科目)の学びをしっかりしておきましょう。教科の専門的な知識が豊富で、しっかりと授業ができるというのは、教員志願者の必須条件です。そして何よりも、キリスト教学校の教員を志望するのなら、普段からキリスト教理解を深めるために大学の礼拝や教会の礼拝を重んじ、できれば教会での奉仕も多く行い、自分自身の信仰をしっかり見つめる機会・整える機会を設定していってください。キリスト教学校の教師は、クリスチャンであっても、まだクリスチャンでないにしても、その学校の歴史と伝統と教育の担い手になっていきます。洗礼を受けたクリスチャンとしてキリスト教学校に奉職することもどこかで真剣に考え始めて下さい。

   ほとんど公募されない教科があると聞きますが、何か対応策があれば教えてください。
   たしかに教科によってはなかなか募集が行われないことがあります。それはつまり、あまり教員の入れ替わりのない科目ということになります。私立学校の教員採用は、あくまでも欠員が出ない限り、募集が出ないというのが実態ですが、比較的大きな学校の場合は、非常勤講師を多く採用して教科教育を展開しているところがあります。多くの人がまずは専任教員の道を求めるでしょうけれど、非常勤講師から専任教員になる道もないわけではありません。数年間の非常勤講師ののちに専任登用されることもあります。しかし教員は専任であろうと非常勤講師であろうと、新人であろうと、いったん生徒の前に立てば、それはみな同じようにプロフェッショナルです。そのためには授業がきちんとできること、教員としての態度を身につけることが重要です。少なくとも教員採用試験を簡単にパスする程度の実力を身につけておきましょう。多くの文献を通して見識を拡げ、知識においても、人間的にも自らを養育しておく必要があります。そしてチャンスが来たら、専任のポジションに応募していくという道筋があります。キリスト教学校と一口で行っても、学校によってかなり違いや特長がありますから、できるだけ多くの学校の教育に実際に触れてみることも大事です。色々な学校のホームページを閲覧していくのもよいでしょう。

   既卒者なのですが、新卒でない分、採用は厳しいでしょうか。
   こればかりは何とも言えません。新卒を求める学校もあれば、非常勤講師など教壇に立つ経験を何年かでも持っている教員経験者を求める学校もあります。就業経験や留学経験等が重視されることもあります。近年は新卒採用のほうが厳しくなってきています。また初年度は嘱託専任教員として採用され、次年度から正式採用になるといったケースが多く見られ、児童・生徒、そして学校の将来を託す教員を得るために、いずれの学校も慎重な教員採用が行われていきます。ぜひ、さらに研鑽を積み、情報収拾に努めてください。いずれにしても自分自身の教育観をしっかり組み立てておくことが大事になります。

   私学適正検査について教えてください。教員採用試験とは異なるのでしょうか。
   教員採用試験は公立学校の教員を採用するための採用候補者名簿を作成するための試験です。「教採」と呼ばれ、都道府県及び政令指定都市の教育委員会によって行われます。したがって私立学校の採用に際して教員採用試験を受ける必要はありません。これに対し私立学校の教員採用は、基本的には学校独自の選考が行われます。しかし近年、地域によっては私学協会への採用希望名簿の記載登録や私学適正検査の結果が重視されるようになってきました。私学適性検査の結果はいくつかのランク別にリストアップされて各私立学校に報告されます。各校はそのリストを教員採用時の「参考資料」とすることができます。私学適性検査は、教員としての資質と適正の基礎的・基本的な事項について検査することが目的とされ、検査内容は(1)専門教科・科目(国語・世界史・日本史・地理・政治経済・数学・物理・化学・生物・英語・家庭、80分)、(2)教職教養(教育原理・教育心理学・教科教育法・教育史・教育法規・生徒指導・一般教養・時事問題など、50分)、毎年8月下旬の日曜日に検査が実施されます(東京の場合)。大学3年生以上が受験することができ、4月から検査結果の出る9月中旬までの間に各校の採用試験を受ける者は、前年度の検査結果が用いられることになります。したがて、よく準備をして大学3年次から積極的に受験していく必要があります。「過去問」も入手できるようになっています。

   キリスト教の授業があると聞きましたが、どうすればよいのか不安です。
   「聖書」の授業のことですね?専門教科ですから、通常は「宗教」の教員免許を持った教員が授業を担当します。中高の場合は、国語科や数学科のように「聖書科」の教師がいてカリキュラムを策定していきます。小学校の場合も、専科の教員として聖書の教員を配置している学校が多くあります。ただし低学年クラスでは学級担任がすべての教科をカバーすることになりますから、この点はその学校ごとに、新任の先生にきちんと指導があるはずです。しかし、すべてのキリスト教学校の教員は、直接的・間接的にキリスト教教育に携わるわけですから、できれば早い時期からキリスト教会の礼拝やキリスト教大学で行われる礼拝、また聖書の学びの会などに積極的に出席し、少しずつ理解と準備を整えていくことが望ましいでしょう。キリスト教の教えやマナーを感覚的に身につけておくことは大切です。

   学校の中で宗派の違う先生方はいらっしゃるのでしょうか。その場合、何か気を付けるべきことはあるでしょうか。
   キリスト教では宗派と言わず、教派という言い方をします。おもにプロテスタント教会の教派のことを指します。教派によって礼拝のかたち、順序、讃美の仕方、雰囲気が異なるのは確かです。それは隣りの家の味噌汁の味や中に入れる具が異なるようなもので、どのような味噌汁も味噌が入っていなければ味噌汁と呼びませんが、聖書がきちんと語られ、神を崇め、イエス・キリストを救い主と信じるところでは、伝統や形態や雰囲気が違おうとも同じ信仰に立つキリスト教です。たとえ違和感があっても、それぞれが大切にしているものを尊重しながらも、同じ神を信じていることにむしろ感謝しなければなりません。それがキリスト教信仰の広さと豊かさなのです。
カトリック教会とプロテスタント教会には大きな違いを感じるかもしれません。カトリック教会はローマ(バチカン)を中心とした世界教会ですが、プロテスタント教会は、1517年の宗教改革以降にできた数多くの教会・教派の総称です。カトリック教会は、設置された修道会によって様式が異なりますが、ローマ法王が教会の要にいて全体としての大きな一致があります。プロテスタント教会は、無数といってもよいほど多くの教派の総称であって、各個教会ごとにそれぞれ違いや特長が見られます。カトリックもプロテスタントも、イエス・キリストを救い主とする信仰においては一つであり、世界中で同じ神を信じています。
キリスト教学校にはいろいろな教派や教会的背景の教職員がいます。しかし同じ神を信じているのですから、お祈りや賛美の仕方、礼拝形式については、身に付けた伝統を強調するのではなく、むしろ学校では学校の姿勢に合わせ、その学校の担い手の一人として学校を支えることが大事です。教会はなかなか一致した歩みをするには困難をきたしていますが、学校はじつに様々なかたちのキリスト教の出会いの場であるといってもよいのです。生徒たちにとっても多様なキリスト教を知ることは意味のあることです。でも生徒が混乱するようであれば、あくまでもその学校のやり方を尊重し優先するのが、教師としては必要なことになります。
分からないことがあれば遠慮することなく、何でも宗教主任、チャプレン、教会の牧師や神父、シスター、宗教部の先生などに尋ねてみることです。

   学校の先生方は、個々に学びを続けるほか、先生方同士で研究や勉強会をされていますか。また学校の枠を超えて、他校の先生方とも関わりを持つことはありますか。
   他の職業でも同じことが言えますが、自ら学ぶことをやめた時点で教師は教師でなくなってしまいます。研修制度は学校によってかなり違いがあります。各学校において教科ごと、学年ごと、校内分掌(各種委員会)ごと、全教職員レベル、そして有志レベルの研究会や勉強会が実施されています。多くのキリスト教学校では、少なくとも一年に一度はキリスト教や建学の精神について学ぶ研修会が開催されているようです。中高レベルでも、週に一日の教員研究日や研究休暇制度を設けている学校もあります。個々の研究を進めたり、他の学校に出掛けて行ったり、また公立学校の先生方と合同で行う研修会に参加したりと、様々な方法で教師としてのスキルアップを図っていきます。キリスト教学校教育同盟においても、地区ごとや全国レベルでの会合や研修の機会を多く提供しており、そのような場で各校の情報交換をしたり、研修をしたりすることができます。

   1~2年生のうちからできる具体的な準備としては、どのようなことがあげられるでしょうか。
   自分でできることとしては、キリスト教学校やキリスト教教育について書かれた書物を何冊か読んでみること(大学の図書館にあるはずです)、いろいろなキリスト教学校のホームページを閲覧したり、一般参加が可能な学校行事に参加させてもらうこと、大学のキリスト教関連科目をしっかり履修しておくこと、大学の教職課程の学びをしっかりしておくこと、教育関連の新聞記事や雑誌に目を通していくこと、キリスト教会の礼拝にできれば継続して出席していくこと、自分で聖書を読んでみること、大学のキリスト教プログラムに積極的に出席したり、クリスチャンの大学教員などと個人的なコネクションをつくっていくこと、ボランティア活動や国内外の研修などに積極的にチャレンジする、などでしょうか。様々な経験や知識や出会いが教員の力量の裏づけになっていきます。経験から湧き出る言葉が出るよう、多くのものにチャレンジし、物事の本質を見極められる力を身につけていきましょう。目標を定めて、いまやるべきことに一生懸命取り組むなら、状況は厳しいですが、必ず道が開けるはずです。私立学校の教員採用に関しては、とにかく情報が少ないですから、自分で進んで情報を得ていくよう努力しましょう。

   キリスト教学校教育同盟の後継者養成プログラムについて教えてください。
   ① これから大学生になる方々の「新入生ガイダンス」
これから大学生となる方々に、キリスト教学校の意義とキリスト教学校教育同盟ならびに後継者養成プログラムについて知っていいただく機会です。どうしたらキリスト教学校の教員になれるのか、大学の教職課程はどのように履修したらよいのか、大学でしておくべきことは何かなど、現役大学生や大学教員を交えての会です。将来、教職に就くことを希望する大学新入生を対象としています。
② パイロット大学での「キリスト教学校教職員志願者ガイダンス」
キリスト教学校での就職を考える人のためのガイダンスです。このガイダンスは「パイロット大学」を会場として行われ、アピールのための講演と教職員養成プログラムの説明がなされます。キリスト教学校の教職員を志望する者、キリスト教学校教育に関心のある者であれば、いずれの大学の学生でも参加することができます。
③ フィールド校での「キリスト教学校体験・見学会」
キリスト教学校の教職員を志望する人たちが、小中高フィールド校においてキリスト教学校の日常に触れ、生徒の状況や教師の仕事について学ぶプログラムです。受け皿となる学校を「フィールド校」と呼びます。学校説明を受け、おもに礼拝や授業を半日見学します。また学校見学の後、講演を聞き、質疑応答の時間を設けた一日研修の機会も春と秋に設けられています。対象は大学3年生以上の方々(既卒者を含む)です。1~2年生の方は、教職課程の科目をしっかり修めながら自分自身の教職への志と適正を検証し、3年生になるまでしばらくお待ちください。
④ キリスト教学校の実際について学ぶ「教職員養成講座」
キリスト教学校の教職員をめざす大学2年生以上の方々を対象とした準備講座です。キリスト教学校の特徴やその使命について、またキリスト教信仰の基本事項に関して、さらには教材研究やホームルーム運営また生徒指導などに関する実践的な課題などを幅広く学ぶ講座です。関東地区では全8回の講座が月1回のペースで実施されています。
これらのプログラムの受講生が全国のキリスト教学校教職員として採用されるケースが少しずつ増えてきています。これらのプログラムに積極的に出席してください。とくに学校見学会や養成講座は、具体的なキリスト教学校の姿に触れる機会ですから、可能な限り出席して、自分自身のキリスト教学校への志を高めていってください。

   キリスト教学校教育同盟の後継者養成プログラムに参加する場合、どのような手続きが必要でしょうか。
   プログラムによっては事前申し込みが必要です。Web上で登録や申し込みができます。毎年発行される当該年度のチラシ、またはキリスト教学校教育同盟のホームページでご確認ください。
http://www.k-doumei.or.jp/kyoshokuin/kyoshokuin-project2008.htm 別ウィンドウで表示

   事務職員の募集・採用がどのように行われるのか教えてください。
   学校という職場であっても、事務職員の採用は教員採用とは異なります。4月採用もあれば、中途採用もあります。司書資格などの専門資格を求めることもあります。ある特定の部署の職員(図書館司書、警備員、栄養士、カウンセラー、用務員、教員補助など)を求める場合もありますし、総合学園などでは「一般事務職員」として採用して、ありとあらゆる部署を経験させていくという場合もあります。学校の個別の事情によって、ずいぶん異なります。
募集は、公募か推薦で行われるケースがほとんどでしょう。したがって、公募情報を入手するためのアンテナを張っておくことと、推薦の機会を逃さないために自己アピールをしっかりして学校関係に詳しい教師や牧師に志を伝えておく必要があります。キリスト教学校教育同盟の就職支援サイトにも募集が出ますし、機関紙「キリスト教学校教育」にも職員の募集が出ることがあります。最近ではほとんどの学校のホームページに職員募集情報を掲載しています。大学の進路就職センターのボードに掲示されることもあります。最新情報をつねにチェックしていくことが重要でしょう。
事務職員の場合は、必ずしも新卒採用ではないこともあります。企業での経験が優遇されることもありますし、教員免許をもった事務職員を求めることもあります。教師経験を持つ人が事務職員として活躍するというケースもあります。大量採用がある年もあれば、採用ゼロが数年続くという場合もあり、学校によって状況は様々です。
現在は、どの学校も、教職員の福利厚生制度はかなりの好条件で整っています。学校というのは、比較的安定した職場であり人気の職種ですから、当然、志望者も多く、競争率はともすると一般企業よりも高くなります。しかし学校は、利益中心の事業体ではなく、共通の使命を担った使命共同体ですから、事務職員もまた学校の教育理念をよく理解し、学校の重要な担い手としての高い使命感が求められます。また各家庭そして神さまからお預かりした大切な児童、生徒、学生の命を預かる場ですから、責任感や倫理観や信仰が求められます。
確かに募集が少ないのが現状です。採用は、多くの場合、応募された志願者について、ある一定数にまで書類審査の段階で絞ります。あるいは応募者全員に筆記試験を課して、試験の結果で絞り込みます。その上で数回の面接を行って採用が決定されていく状況が多く見られます。大学の学業成績や学生時代の様々な経験や活動は、書類審査の際の大事な資料となります。教員免許は必要ありませんが、事務系の資格などはもっていれば考慮されます(簿記、司書など)。近年は、グローバル化のなかで高い語学力が事務職員にも求められることがあります。
しかしなによりも、教員と同様、キリスト教学校では「信仰をもって奉職する人」「学校の教育理念や建学の精神をしっかり理解し受け留めることのできる人」を求めています。職員志望者も、普段からキリスト教理解を深めるために大学の礼拝や教会の礼拝を重んじ、自分自身の信仰をしっかり見つめる機会・整える機会をつくってください。またそのような意識を高くもって採用人事を行っているキリスト教学校をあなた自身も捜し求め、情報収集に努めてください。いろいろな学校があります。学校訪問などを通じて、できるだけ多くのキリスト教学校の実態を知っていくことも大切です。

   キリスト教幼稚園の就職について教えてください。やはり教会に行くことが必要なのでしょうか。
   あいにくキリスト教学校教育同盟は幼稚園をカバーしていません。もちろんなかには幼稚園を設置している学校もありますが、キリスト教関係の幼稚園については、キリスト教保育連盟という組織があって先生方の研修などを行っています。キリスト教幼稚園もなかなか厳しく狭き門です。公募は各幼稚園が行いますので大学の求人案内を見たり、直接問い合わせたりして情報を得ていく必要があります。幼稚園教諭を目指すにせよ、事務職員を目指すにせよ、教会は自分の就職に有利だから行くというようなところではありません。また何らかのコネを作りに行くわけでもありません。むしろ自分自身が本当にキリスト教教育に身を奉げていく決心ができるかどうかを確かめ、神と向き合って生きていくことへのチャレンジを受けるときです。またキリスト教教育やキリスト教保育がもっとも大事にしているものは何かを知る大切な機会です。自分が希望する幼稚園があるかどうかではなく、自分自身が教育者として生きていくときに必要なものは何かを考えてみてください。

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